表明保証(Representations & Warranties)
表明保証は、英語で「Representations & Warranties」と表され、「レプワラ」と略して言われる。
M&Aの最終契約書(DA)で登場する、重要な条項の1つであり、主に売り手が開示した情報に対して、真実かつ正確であることを表明し、その内容を保証するという内容のこと。
何故、DAでこんなことをするかというと、仮にDA締結後に表明保証違反が発覚した場合、①買い手側がM&Aを取りやめたり、②補償請求ができたりする根拠になるという効果がある。
①については、流石にクロージング後に取りやめは不可なので、あくまでもDA締結~クロージングまでの間だけ有効。
②については、クロージング後、売り手と合意した一定期間、補償請求ができる、という内容になる。
DDでは、情報の非対称性(売り手の方が当然知っている状態)が存在するため、表明保証を入れる背景として、買い手と売り手でM&Aに関するリスクを分担させる効果があるためとされる。
また、売り手側に情報開示の促進や情報の非対称性の解消効果も言われる。つまり、売り手としては、情報を確り開示すれば、その中で開示したリスクがクロージング後に顕在化しても、そのリスクを既知の状態で買収したことになり、買い手としては補償請求できない。従って、売り手に「ネガティブ情報」の開示を促す効果もある。
DDにおいて、途中で買い手がドロップし、情報を流用されるリスクを懸念して、売り手が開示したがらないことがあるが、信用力のある買い手であれば、NDAを締結していること、また開示しなかったことで、クロージング後に買い手から補償請求を受けるリスクを考えると、売り手としては、開示する方が良いという整理になる。
また、表明保証にて、情報によっては、売主の「知る限り」「知り得る限り」という限定文言を入れかどうかも交渉対象になる。この文言がなければ、本当に売主が知らなかったリスクも、すべて補償しなければならないため、重要となります。