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キリンによるファンケルの完全子会社化

コラム
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キリンHDによるファンケルの完全子会社化について、コメントしたい。
案件の一報を聞いて思ったこととしては、以下の通り。

① やっぱり、完全子会社化でしたね。

② ファンケルの化粧品はどうするのだろう?

③ 二段階買収って意外と効果的?

④ 次のM&Aターゲットは?



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① 既定路線だった完全子会社化

2019年にキリンがファンケルの創業者であった池森氏と一族からまとめて、約33%*を市場外で取得し、資本業務提携を発表してから約5年間。
*議決権ベース。

外部目線では、直ぐに100%化したいところ、成功/失敗のいずれの場合でも、お付き合いとしての期間を設け、気が温まるのを待ってから、完全子会社化に踏み切ったという印象。

ファンケル側(経営陣)もステークホルダーが納得するためには、キリンとの組み合わせの良さを実感した上でないと、踏み切れなかったはずなので、この助走期間は必要だったのだと思う。

結果として、共同プロダクトを発表したり、協働姿勢を見せたものの、うまく行っていなかった印象だが、ファンケル側もいつかは100%化されるのを分かりながら、そのきっかけが必要だったのかもしれない。

個人的には、キリンが2023年12月にBlackmoresを買収したことで、健康食品事業での東南アジアチャネルへのアクセスが可能になったことも有り、ファンケルもこれまで以上にキリンと一緒になることのメリットを感じたのかもしれない。従って、Blackmores買収が布石であり、100化のトリガーになったのかもしれない。


② ファンケルの化粧品はどうするのだろう?

キリンが欲しかったのは、ファンケルの健康食品とチャネル等だと思ったが、メイン事業の化粧品をどのようにするか、気になる。正直、ビール会社の化粧品への抵抗感は少なからずとも生じる気がするし、キリンも化粧品に全力を出すかと言うとそうでも無さそう。従って、稼ぎ頭の化粧品をどのように成長させるか、扱うか、今後要注目。


③ 二段階買収って意外と効果的?

上場企業を買収する際、0%⇒100%と一度にM&Aを完了できれば、楽だが、プレミアムが高くついたり、他の買い手候補に目をつけられたり、何かと難易度が高い。

今回のように、一度30%程度の株式を取得し、戦略的な意味も持たせて資本業務提携を行い、上場維持させて、しばらく経った後に100%化するというやり方は、意外に効果的と感じた。

1回目の資本業務提携で、マイノリティとは言え、他の買い手候補はほぼ諦めることになり、2回目の100%化の難易度がぐっと下がると感じている。アクティビストが入ってくるリスクはあるが、ストラテジックの買い手がガチンコで買収合戦を仕掛けてくることは考えにくい。

従って、上場企業の買収には、焦らず、まず1ステップとしてTOBが不要な資本業務提携を行ってから、数年後に完全子会社化するというやり方の方が、急がば回れじゃないが、うまく行く。2回目は、TOBではなく、株式交換にするという選択肢も出てくるので、選択肢も増えると考える。


④次のM&Aターゲットは?

上場する化粧品会社は、時価総額が大きくても、まだ創業者一族が運営している会社が多い。ファンケルのように創業家が株式を売却するというシナリオが出てくれば、ファンケルのような大型化粧品会社の買収案件もまだあり得るだろう。

以上
 

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