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M&Aにおける特別委員会

お知らせ
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今回は、M&Aにおける特別委員会について、コラムを書きたい。

ポイントは、
・​M&Aにおける特別委員会の存在感の高まり。
・組織再編・グループ内再編は、内輪で完結できない
・条件交渉における重要な役割

非上場企業のM&Aでは馴染みがないが、上場企業のM&Aになると、少数株主保護の観点より、いわゆる支配株主(親会社)とのM&A取引にあたっては、客観的なM&A取引に対する評価が必要となり、特別委員会が登場する。

昨今、特別委員会の重要性が高まっており、買い手⇔売り手の取引だけでなく、ここに特別委員会も加わって、三者間のやり取りがなされる位の存在感が出ており、手続きも買い手⇔売り手の当事者がOkすれば、M&A成立という分けにも行かなくなっている。

何故、M&A取引において、特別委員会が登場するのか、どのような役割や立ち位置になるのか、少し説明してみたい。


1. 特別委員会とは?

取引所のルールとして、上場企業が支配株主等と取引を行う際公正性担保措置・利益相反回避措置の一環として、当該取引の公正性を確認するために、売り手となる上場子会社側が特別委員会を設置するようを推奨されて
いる。

従って、上場子会社を親会社が完全子会社化するようなケースでは、必ずと言って良いほど、特別委員会が登場する。

平たく言うと、上場子会社が親会社の言いなりで、不利な条件で完全子会社化を受け入れるのを防止するための措置として、特別委員会によりチェックしてもらうということになる。従って、TOB価格や株式交換比率(移転比率)が子会社に不利でないか、外部に見てもらうというというのが主要な目的。

以前は、有識者を中心に外部委員で構成されていたが、経産省が発表した所謂M&A指針に規定された通り、利害関係を有しない社外監査役及び社外取締役が関与することが望ましい(最近では、マストの状態)とされている。以前は、専門性が必要とされるため、弁護士や公認会計士と言った社外有識者を委員として招くことが多かったが、株主への責任感と言う視点から、より少数株主の利益に責任を持つ役員を委員にした方が良いという考えに基づくもであり、正しいと言える。但し、M&Aでは高度な知識や専門性を必要とするので、追加的に有識者を委員に迎え入れたり、FAやリーガルアドバイザーを任用することも許容されるケースがほとんどである。

特別委員会は、取締役会によって諮問され、第三者機関として、客観的に取引をチェックする機能を有している。彼らは、少数株主の立場「取引の公正性」を確認するのが主目的となる。最終的には、答申書を取締役会に提出し、「対象のM&A取引は公正に行われた」という報告を行い、取締役会はその答申書の内容をもって最終契約書にサインを行うことになる。


2. 特別委員会は何をするのか?

では、具体的に特別委員会は何をするのか。取締役会から諮問される事項は主に3~4つ。

①M&A取引の目的の合理性(そのM&Aって、良いの?)

②M&A取引の取引条件の妥当性(子会社側の株主に不利じゃないの?)

③M&A取引の手続きの公正性(手続きはフェアだった?)

④①~③を踏まえ、M&A取引は少数株主にとって不利益ではないという答申書の作成(問題ないよ、という報告書)

特別委員会は、M&A取引が公表される前3~4カ月間の間に、計10回程度実施される(10年前は、5回程度だったが、M&A指針などを受け、更に特別委員会運営の充実化が進んだ)。毎週or隔週のようなイメージ。参加する委員の方への業務負担はそれなりに係るため、余談ではあるが、社外取締役及び監査役への報酬は、別途用意されるケースが多い。なお、成功報酬型にすると、成功ありきでの運営となるため、基本的には成功の要否に関係なく、固定報酬が支払われる仕組みの場合が多い。

開催イメージとして、まずは前半に①を中心に確認作業を行い、中盤~終盤にかけ②を確認し、全体通して③を確認するという流れ。


①M&A取引の目的の合理性

M&A取引は、少数株主を排除し、買い手・売り手間でのシナジー創出が最大化されることが大前提。但し、プラスもあればマイナス(例えば、競合他社による買収であれば、取引先の離反など)もあり、M&Aの結果として、プラスの方が大幅にマイナスを上回る場合、そのM&A取引の意義は大きく、実施目的の合理性が説明できるという整理を行う。

仮にマイナスの方が大きい場合、合理性の説明が難しくなる。従って、確りとシナジーを検討しないと、特別委員会から認められず、M&A取引のお墨付きが頂けなくなるので、親子間と言えども真面目にシナジー効果の検討が必要となる(適当にありふれた意義・目的だけを並べ、M&Aが終わってから、考えれば、良いという時代ではなくなっている)。


②M&A取引の取引条件の妥当性

これまでは、M&A取引条件の交渉は、当事者間+互いのFAくらいしか、関与しなかったが、現在は、特別委員会もフルで関与してくる。具体的には、交渉の際、事前に会社・FAは、特別委員会に交渉方針を説明し、了承を得た上で、交渉に臨む。また、特別委員会に交渉権を付与することも前提となっており、場合によっては特別委員会が自ら買い手と交渉することも可能とされている。

従って、仮に売り手の取締役会が、「これくらいで良いのでは?」と勝手に判断し、妥協しようとしても、特別委員会から承認が得られない場合、答申書によるお墨付きが得られなくなるため、交渉を終えることができず、最後の最後まで交渉することになる。


③M&A取引の手続きの公正性

M&Aプロセス全体を通して、公正性が見られる。

例えば、Valuationの前提となる事業計画。通常、M&A取引において、新たに事業計画を準備することが多い。親会社の意向を受けて、意図的に低い事業計画数値になっていないか(結果的に安いValuationになっていないか)を確認する。
また、親会社の事業計画についても、明らかに実現可能性が低い、高めの事業計画になっていないか、会社・FAを通じて確認することになる。

また、親会社との利害関係を有しているアドバイザーがいないか、親会社出身の役職員が上場子会社側の事務局にいないかなど、親会社に忖度した手続きになっていないかも確認する。(但し、親会社出身だからと言って、すべて排除することはなく、既に子会社に転籍して、一定期間経っている場合は、免除されるなど、実質的な判断はなされるケースが多い)


④答申書の作成

①~③を踏まえ、最後に答申書という形式で、特別委員会が売り手である上場子会社側の取締役会に案件発表の前日 or 当日、報告書を提出し、特別委員会は、事実上終了する。

答申書では、①~③の具体的内容が記載され、最後に「M&A取引は少数株主にとって不利益ではないよ」という総括で占め括られる。

最近馴染みのない方には、驚きかもしれないが、昨今の所謂上場会社同士の組織再編・完全子会社化は、このような流れになっており、ガチガチに決められる手続きとなるので、余裕をもって、想定通りに進められる経験のあるFAやリーガルアドバイザーと一緒に取り組むことが重要となる。

なお、取引所のルールでは、公正性担保措置として、特別委員会の設置以外に、株価算定機関からの公正性に関する評価(フェアネス・オピニオン)の取得弁護士による意見書などの方法もあるが、上記①~③すべてを満たすことはないので、手続きの安定性を求めると、公正性担保措置=特別委員会の設置となるケースがほとんど。

なお、大型の組織再編(合併など)においては、特別委員会の設置+フェアネス・オピニオンなど、セットでなされることも多い。

以上

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