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会社を売りたい方へ。いくらで売れるか?

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いくらで売れそうか?
M&Aをやっていてよく聞く話題です。少し、株式価値評価(Valuation)について、以下3つのカテゴリーに整理してご紹介したいと思います。

(1)上場会社の場合
(2)未上場会社の場合

(3)シナジー

上場会社/非上場会社は、少し評価方法が異なるが、いずれの場合も買い手側はシナジー効果を考えて、買収を判断する。このシナジー効果が買収への意欲や価格に影響するので、最後に触れてみたい。


(1)上場会社の場合

毎日株価と言う値札がぶら下げられているので、その価格から大きく逸脱することはないです。
仮に、上場企業を100%買収する場合、所謂コントロールプレミアム(+30~50%程度)を乗せた価格が一般的な水準となるので、結論、株価×1.3~1.5倍という見方になります。

具体的には、株価自体が正しいか、適正な価値を表しているかという市場価格分析を行い、類似会社比較法(類似会社各社のEV/EBITDA*を当てはめた評価)、類似取引比較法(過去、同じ業種・領域のM&A案件におけるEV/EBITDAをもとにした評価)、DCF法キャッシュフローに基づく評価)のそれぞれの評価手法を行って、株価×1.3~1.5倍を算出するということになります。

未上場企業と違って、ガバナンスが確りしており、需要那M&Aは社長の一存では決められない。少なくとも社外取締役・監査役が出席する取締役会での決議が必要であり、上記のような分析や様々な手法をもとにした第三者による株式評価資料は当然求められる。

*EV: Enterprise Valueの略。企業価値のこと。企業価値 = 株式価値(= 時価総額)+ 純有利子負債額EBITDA = 営業利益 + 減価償却費のことで、簡易的な営業キャッシュフローとも言われる。EV/EBITDAとは、税金を考慮せず、企業価値に対するEBITDAの倍率であり、何年で買収金額を回収できるかという簡易的な指標となる。


(2)未上場会社の場合

上場企業と違い、株価がないので、IPOしたり、M&Aで売却されない限り、その価格は分かりません。長年携わってきた私から見ると、一物多価です。

買い手によって、評価する値段が変わります。評価イメージは以下の感じ。

評価手法  ×  (X)  ×  (Y)  ×  (z)


①評価手法
上場会社の株式価値評価に使われるDCF法類似取引比較法類似会社比較法、また未上場会社に主に使われる売買評価額時価純資産額などがある。

左から右に進むにつれて、評価額は下がっていくイメージです。

DCF法: 中期経営計画の将来5期分のキャッシュフロー(CF)+6期分以降の将来CFの総和を時間コストという概念の割引率で割り戻した価値。過去の実績は評価に入れず、あくまでの将来利益が評価のベースなので、不確実性は高いが、将来成長が期待される会社の評価には適した評価手法。

類似取引比較法: 類似する他のM&A取引におけるEV/EBITDA倍率を自身のM&A取引に当てはめる方法。M&A取引金額(EV)には、シナジーが加算されているケースが多く、公表ベースの被買収会社のEBITDAで除しても、EV/EBITDA倍率は、類似会社のEV/直近実績EBITDAより高い倍率の傾向にある。同業種のM&A取引とはいえ、製品・規模・サプライチェーンなど、全く同じ取引は存在しないので、あくまでも参考値扱い。

類似会社比較法: マルチプル法とも言われ、被買収会社の類似企業のEV/予想EBITDA(凡そ4倍~8倍)PER(時価総額/予想当期純利益)をもとに評価する方法。マーケットアプローチとも言われ、コントロールプレミアムは通常入っていない。

売買評価額: 時価純資産 + 営業権(営業利益×2~5年分)で求められる簡便な評価手法。営業利益は実績や予想値を使う。未上場企業、特にM&A仲介などで使用される。グローバルでは他の評価手法はあるが、これは日本にしかなく、株式市場で使われない指標であり、指標としても根拠もない(株価をベースとしない評価手法なので、純資産方式に近いイメージ)。一言で言えば、売り手の期待値を下げるために作られた、買い手目線の簡便な評価手法という印象。株式評価として、純資産と営業利益の組み合わせという評価方法はない。恐らく、未上場企業に使われる理由は、将来利益数値への信憑性がないからだろう。清算価値である純資産額は、原価のような評価であり、信用できる利益水準くらいは加算してあげようという発想だろう。利益の倍率は、対象会社により変わるという感じ。買い手からすると、最悪利益が出なくても、時価純資産は担保されるという考えだろう。

純資産方式: 純資産額を株式評価とする方法。簿価ではなく、時価評価をベースとする。土地・有価証券など、資産項目の中で、時価に洗い替えた後の時価純資産額。これは清算価値なので、将来この会社が成長可能性があったとしても、その評価内容は、株価に反映しない考え。

なお、(X)(Y)(Z)ディスカウントファクターであり、プラスではなく、むしろマイナスの値。(X)はサイズ、(Y)は会社固有のリスク、(Z)は評価タイミング(X)(Y)(Z)は固有で算定するというより、既に評価手法に織り込まれているケースが多く、個別にみる必要がある。例えば、EV/予想EBITDA(凡そ4倍~8倍)売買評価額営業権(営業利益×2~5年分)と言った感じに利益の倍率の中で調整されるのが実務上の考え。ここでは何故、そのレンジが取られるかという背景を因数分解して解説する。


②規模に関するディスカウントファクター(X)

DCF法で言うところのスモールキャッププレミアムのような感じ。DCF法では、算出される時価総額で、サイズプレミアムを使うが、他の手法(マルチプル法など)では具体的なサイズプレミアムはない。基本的に、株価に織り込まれていると考えるのが、妥当。従って、規模の近い類似会社の評価を採用するのが、一般的。
 
なお、上場企業は、IPO時に規模に関する基準をクリアしているため、一定の会社規模があるが、未上場企業となると、下限はない。1人会社もあれば、売上が数千万円に満たず、会社の体をなしていないケースもある。従って、同じような評価手法を使っても、株価に織り込まれていないレベルの会社規模となると、ディスカウントする。倒産リスク(デフォルトリスク)に近いイメージ。一方で、未上場企業でも上場企業に引けを取らない規模になれば、上場企業と同様の評価手法を使っても違和感がない。(例:サントリーなど)

i)売上高5億円未満
 従業員も30名未満、組織的運営というより、社長や一部の幹部社員の力量で会社運営が成り立っている可能性があり、事業計画の信憑性が低い可能性がある。この規模で設立10年経過している成熟企業は、俗人的な運営状態の可能性があり、上場企業のマルチプルを採用するのは、無理があるため、実際には上場企業で使われる評価指標からディスカウント(X)を使うのではなく、売買評価額時価純資産額が採用されていると推察される。

この規模でも上場しているベンチャー企業も稀にあるが、株価の透明性が担保できるだけの出来高があるか、不透明なので、参考にならないケースが多い。また、規模が小さくても上場している会社は、創業間もない拡大期であり、将来性を先取りした株価形成になっている(非常に高い評価になっている)場合もあり、急成長スタートアップではない限り、成熟した未上場企業には採用できないケースが多い。

ii)売上高5~50億円未満
 成熟企業で50億円でも、上場企業対比ではまだ、サイズ的に小さい。ただ、組織的な運営もされていることもあり、過去の安定的な利益水準も伴えば、将来利益の予測も最低限評価できるため、マルチプル法を採用しても違和感がない。
但し、多くはないが、上場している企業もあるため、上場企業のマルチプル法を使うこともあり、その評価結果から幾分ディスカウントするのが、一般的。具体的な(X)の数値はないが、レンジの中で下限に近い値を使うのが一般的。例えば、EV/EBITDA倍率であれば、類似会社5社~10社の平均値or中央値を求め、その±10~15%上下にレンジを取る。
なお、今後成長期待されるベンチャー企業であれば、売上高30億円未満でも、DCF法やPSR(売上高倍率)で評価は可能であるが、不確実性も高い。規模のディスカウントはあり得るが、それ以上に成長期待が先行するため、その場合は、上場するスタートアップ系企業の評価を参考とすることはある。

iii)売上高50億円以上
 50億円以上であれば、上場している会社はある。この場合、DCF法やマルチプル法、類似会社比較法など、上場企業に近い株式評価手法を使うことが一般的。
未上場企業も色々なステージの会社があるので、そのステージに合わせた株式評価手法を採用することが重要である。独立した第三者による評価であれば、良いが、仲介のように買い手と売り手の落し所を見るようなアドバイザーの評価は、成約のための評価(売買評価額)であり、あたかもそれが当たり前のように言われるが、可能であればセカンドオピニオンを取ることをお勧めする。


③会社固有の事業に関するディスカウントファクター(Y)
買い手によって、(Y)の値は変わる。要素としては、業種/領域・地域・技術・ビジネスモデル・人材・生産能力・販売力・ノウハウ等であり、低く評価する買い手もいれば、高く評価する買い手もいる。但し、ビジネスモデルや技術に差別化要素があるなど、余程のことがない限り(Y)が、1以上になることはなく、あくまでもディスカウントファクターの扱い。

業種/領域: ある買い手は、対象会社の業界のことを良く知っており、その中での対象会社の位置づけを踏まえて、評価する。マルチプル法となると、他の上場会社との比較評価なので、上場企業と引けを取らない会社であれば、ディスカウントは不要だが、事業リスクが高いと判断し、ディスカウント評価となります。

地域: 地域の方が分かりやすく、小売業を展開する買い手が、未進出地域で対象会社が既に営業基盤を持っている場合、補完関係となり、互いの地域が隣接すると、仕入・マーケ・物流などで、シナジーが出しやすいので、高い評価(次の③シナジー効果を参照)につながる一方で、補完関係が薄く、シナジーが出しづらいとなると、ディスカウント評価となります。また、一部地域が競合する場合、1+1<2の可能性もあることから、その場合もディスカウント評価になります。

その他要素についても、補完関係が薄くなるとそもそも興味なしという見方になります。


④評価タイミングに関するディスカウントファクター(Z)
成長期・拡大期における評価か、衰退期・縮小期における評価か、調整期の評価か。評価タイミングによって、同じ対象会社でも評価が異なる。これは上場企業の株価も同じ。仮に、類似上場企業が成長期であり、高い評価であっても、対象企業のみ固有の事情で調整期であれば、その分ディスカウントを受ける。これも、個別に(Z)の値を算出するというより、マルチプル法のレンジの下限を取るというやり方が実務上は一般的。
評価タイミングで重要なことは、対象会社が調整期(また上昇傾向に戻るシナリオ)なのか、そもまま衰退期に入っていくのか、対象企業の分析をすることである。


(3)シナジー

最後にシナジーについて、述べておく。M&Aにおいて、シナジーを説明すると、何故会社を買収するかと言う理由にたどり着く。単に会社買収をしても、1+1=2であるが、シナジーを創出すると、1+1+α>2となり、+αがシナジー効果と言われる。

通常、シナジーは買い手が享受する利益であり、対象会社だけでは発生しない効果である。買い手が買収し、対象会社と協働することで初めて発生するプラス効果であり、これが買い手が買収する目的(M&Aによって、更なる成長が実現できること)である。

人気のある対象会社となると、株式価値評価をしただけでは、買収できない場合があり、案件や買い手によっては、シナジーの一部を売り手に支払うケースもある。

従って、本題の「いくらで売れるか?」について、単に評価手法の説明は、教科書通りなのだが、売主目線で最も重要なポイントは、もしより高くで売却したいなら、買い手にシナジーの一部を支払ってもらえるような売り方をするのが、最も効果的なやり方とも言える。買い手からすると、非常に悩ましいが、案件の希少性を考えると、決断せざるを得ないケースもあり、シナジーの一部を引き出せるかが、売り手アドバイザーの腕の見せ所になる。


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